井筒屋(本店、北九州市)は30日、博多井筒屋の後継店として出店したサロン・ド・井筒屋U(福岡市)を2009年6月末をもって閉鎖し、福岡地区から完全撤退することを決めた。店舗撤退にともなう損失引当金は8億3000万円。
井筒屋は1966年に博多駅ビルに博多店を出店した。博多駅周辺が空き地だらけだった頃から41年間に渡り赤字に耐えて営業を続けてきたが、果実を得る段になってJR九州(本社、福岡市)が新博多駅ビルに阪急百貨店(本店、大阪市)を誘致し、もともと仲の悪かった井筒屋を追い出した。
福岡地区の贔屓客を繋ぎ止めるため、博多リバレインに緊急出店したのが小型店舗のサロン・ド・井筒屋Uだ。しかし売場面積が狭く、富裕層に的を絞った商品構成が仇となり、昨今の急激な景況悪化によってわずか1年あまりで行き詰まった。高額商品の売れ行きはどの百貨店でも不振を極めており、戦略の過ちを認めて早めに見切りをつけた。
井筒屋は2009年2月末に久留米店も閉鎖しており、サロン・ド・井筒屋Uの閉鎖と併せて、井筒屋の赤字体質の元凶だった福岡地区の店舗(土産屋を除く)がこれでゼロになる。一方、2008年10月開業の山口店や、2009年3月新装開店のコレット店は出足が好調で、今後は関門地区の商圏を固めつつ、福岡地区の百貨店と対決姿勢を強めることになりそうだ。
ただ、関門地区の商圏を守りきったとしても、百貨店が構造不況業種であることに変わりはなく、このままではジリ貧が見えている。いまは不況で身動きが取れないが、老舗百貨店の業態にこだわらず、都市型ショッピングセンターの開発に軸足を移すなど、新しい展開を考える時期に差しかかっている。