現職が出馬を見送り新人3名の争いとなった下関市長選挙は15日に投票が行われ、即日開票の結果、中尾友昭氏が当選した。
確定得票は、税理士で元県議の中尾友昭氏が6万2964票、前県議の友田有氏が4万0706票、前市議の香川昌則氏が2万0401票。当日有権者23万4585人に対し、投票者12万5442人。投票率は53.47%で、前回選挙の49.30%を上回り、予想外に盛り上がった。
今回の選挙は現職の江島潔市長と、江島批判の新人3名が組み合う構図になるはずだった。江島氏には多選批判があったが、まだ51歳と政治家としては若年であり、出馬の準備を進めていたとされる。しかし前回選挙が薄氷の勝利だった上、今回は安倍元総理の後援会の支持を得られず、また、市役所の新下関移転を決断したことで旧市内の支持者も離れて、票読みが思わしくなかった。
江島氏は2月19日に不出馬を表明、市長選は江島市長の後継者も大物の対抗馬も現れないまま、よく似た小物同士の三つ巴になった。全員が自民系であり、政党選挙にもならなかった。
中尾氏は1949年生まれ。下関市出身。東亜大学大学院を修了後、民間畑を歩んだ。1991年、下関唐戸魚市場(株)取締役。1999年、下関市議会議員に当選して政治家に転身。2003年、山口県議会議員に当選。下関市長選は2回目の挑戦で、2005年の選挙では江島市長に対して約2500票差で惜敗した。この4年間は支持者に支えられ、(株)ハートフーズ21副社長などを務めた。
今回の選挙では唐戸に事務所を構え、「市役所は建て替えない(=新下関への移転を白紙撤回する)」「あるかぽーとは芝生の公園にする(=商店街が反対する大型複合商業施設を建設しない)」と唐戸寄りの政策を訴えて、旧市内の支持者の心を鷲づかみにしたのが勝因となった。
市庁舎移転は下関市にとって難しい問題になっている。新下関移転が有益かどうかは別として、下関市議会から在任特例満了に伴って旧郡部の議員が退いたところで、旧市内が数の論理にものを言わせて豊関合併の約束事を反故にするのなら、旧下関市と旧豊浦郡の断絶が決定的になる。この問題は根が深く、今後も紆余曲折がありそうだ。