西日本新聞(本社、福岡市)は10日、山口県内での西日本新聞と西日本スポーツの発行を今月限りで取りやめると発表した。「広告需要の落ち込みや製作費上昇など経営環境が厳しさを増す中で、新聞事業を安定的に維持するために、発行区域の見直しを決断した」という。
西日本新聞は九州・山口各県で新聞を販売しているが、東九州や南九州では県紙の分厚い壁を崩せず、北九州・山口では北九州拠点の全国紙が立ちはだかり、シェア1位なのは福岡市を中心とした福岡県の西半分に限られる。特に山口県での発行部数は999部(2003年4月)と惨憺たる状況だった。
同社調べの山口県内の朝刊発行部数(上記調査と同じ)は、読売新聞18万3822部、朝日新聞16万6581部、毎日新聞15万1485部、日経新聞2万1532部、西日本新聞999部。2002年版「全国新聞ガイド」によれば、山口新聞8万8980部。現在の発行部数は各紙これより少ないとみられる。
「地方ブロック紙」の看板を死守するため、読者不在にもかかわらず下関市や山口市に支局を設けて長年取材を続け、西日本新聞のシェア拡大に尽力してきたが、紙媒体の新聞離れが急速に進んでいたところに、米国発の大不況が止めを刺して、もはや不採算を容認できなくなった。
今後はより九州に密着した報道機関として多角的な情報発信に取り組むという。しかし西日本新聞は鹿児島県、宮崎県、大分県(日田除く)でも発行部数はコミュニティ紙相当の数千部でしかなく、収益悪化が深化すれば、さらなる発行区域の縮小を目指す選択肢もありそうだ。