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日銀短観、北九州の一人勝ち 各地は総崩れ

日本銀行下関支店および北九州支店は1日、2008年9月の企業短期経済観測調査(短観)を公表した。

北九州支店管内の全産業の業況判断指数(DI)は+10。前回より2点高く、支店発表の管内短観では一人勝ちの状態だ。今回は次点の横浜でさえ+1で、その他はすべてマイナスに沈んだ。北九州は製造業のみならず、非製造業もいまだプラスで推移する全国唯一の支店だが、その非製造業が上放れて前回より9点も上昇した影響が大きい。

下関支店管内の全産業の業況判断指数(DI)は-16。前回より4点低いが、予測よりは2点よい。下関支店管内では足踏み状態にあった製造業も下放れて、全産業、製造業、非製造業のすべてで下降局面が明確になった。山口県は2002年3月の平成不況の底から出発して、約6年間続いた「実感のない景気拡大」が終焉し、ふたたび景気後退に入った。

2007-8年 業況判断指数―全産業(括弧内は予測値)
/ 9月 12月 3月 6月 9月 12月予測
山口 -7 -8 -9 -12 -16(-18) (-20)
北九州 +12 +11 +9 +8 +10(+3) (-2)
大分 ±0 -3 -6 -9 -18(-12) (-19)
九州 +2 +1 -5 -8 -14(-10) (-17)
中国 -2 -4 -7 -13 -17(-20) (-22)
全国 +4 +2 -4 -7 -14(-12) (-19)

外部環境

今回の調査期間(8月27日~9月30日)は米国のサブプライム問題に端を発した信用崩壊が佳境に差し掛かり、住宅ローン債権の保障業務を行うフレディマック、ファニーメイの両行が米政府の管理下に入ったほか、証券業界ではリーマン・ブラザーズの経営破たんをきっかけに、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが銀行化して持ち株会社へ移行、メリルリンチがバンク・オブ・アメリカに救済合併されるなど、目まぐるしい動きがあった。

米国では不動産・金融バブルの火付け役たちがすっかり退場させられて出尽くし感があるが、サブプライム問題は次の舞台を求めて欧州へ上陸しており、ベルギーのフォルティスや、英国のノーザン・ロックが国有化されるなど、今後も金融機関の破たん連鎖が続きそうだ。米欧の景気後退により、米欧への輸出比率の高い日本やアジア新興国、資源高に沸いた産油国・資源国も総崩れの様相で、サブプライム問題はまだ終わりが見えない。

北九州地区

北九州支店管内の製造業の業況判断指数は+4。前回+10より6点低い。非製造業の業況判断指数は+16。前回+7より9点高い。全国で非製造業の指数がプラスなのは2期連続で北九州だけだ。しかも北九州は前回も今回も指数がぐんぐん上昇した。北九州支店は細目を公表しないため、どの業種が強いのか分からないが、上場企業では鉄鋼商社の小野建(本社、北九州市)の業績が強い。

2008年度の売上・収益計画は、上期見込みが製造業・非製造業ともに増収減益、下期計画が製造業で増収減益、非製造業で増収増益。北九州は他と比較して利益の落ち込みが小さく、傷口は浅い。売上高経常利益率は高い水準で安定している。景気の先行指標である設備投資計画は、全産業の通期で10.8%増。ただし製造業は弱気に傾いてマイナス修正された。

製造業の生産設備判断は過不足ない状態だ。雇用人員判断は製造業では過不足ないが、非製造業では不足幅が大きい。製造業では製品在庫水準判断が前回よりやや過大に傾いたが、製品需給判断は需給一致と見る。仕入価格判断は資源価格の急落を受けて上昇幅が和らいだが、過去の上昇分を転嫁して販売価格判断は前回の2倍上昇した。

サブプライムは金融の問題だ。米欧では貸し渋りを通り越し、疑心暗鬼が跋扈して貸し手不在になっているが、北九州支店管内の金融機関の気になる貸出態度判断は「緩い」。企業の資金繰り判断は「楽である」。北九州はこの方面でも全国や九州と比較して恵まれている。

今回の短観では、景気の先行指標である製造業指数が景気の遅行指数である非製造業指数を上から下へ突き抜けた。このデットクロスが発生すると、北九州地区は過去例外なく景気後退に入った。景気後退は1~3年程度だが、北九州地区では製造業指数が非製造業指数を上回っている期間が好景気であり、上抜けない限りは景気拡大であっても好景気ではない。この観点から言えば、次の好景気は最短でも10年後であり、相応の覚悟が必要だ。

管内金融経済概況によれば、「北九州地区の経済は、引き続き高水準にあるものの、幾分減速感が増している。製造業を中心に先行きに対する企業の見方が慎重化している」。先行きは製造業・非製造業ともに悪化の見通し。

山口地区

下関支店管内の製造業の業況判断指数は-5。前回より2点低い。非製造業の業況判断指数は-21。前回より4点低い。全国と比較すると、製造業は相対的によく、非製造業は相対的に悪い。全産業では平均的。

2008年度の売上・収益計画は、上期見込みが製造業・非製造業ともに増収減益、下期計画が製造業・非製造業ともに増収減益。下期は若干和らぎそうだ。景気の先行指標である設備投資計画は、全産業の通期で66.2%増。前年37.9%減の反動の側面もあるが、伸び率は1987年の調査開始以来最大であり、注目に値する。

生産・営業用設備判断は「過剰」。雇用人員判断は製造業で「不足」、非製造業で「過剰」と、北九州と反対。製商品在庫判断は「過大」で、対する製商品・サービス需給判断は圧倒的な「供給過剰」。仕入価格判断は上昇幅が大きいが、販売価格判断の上昇幅はわずかだ。金融機関の貸出態度判断は積極融資の山口銀行の膝元であり、「緩い」。しかし資金繰り判断は「苦しい」が拡大した。

管内金融経済概況によれば、「県内景気は、このところ弱含んでいる。これまで操業度の高かった素材業種にも弱めの動きが広まり始めている」。好調な設備投資による景気の下支えが期待できるため、今後景況感が急激に悪化するとは考えにくいが、先行きは製造業・非製造業ともに悪化の見通し。

付録

2008年9月 日銀支店発表の業況判断指数―全産業
業況判断 各地の支店
±0~ 北九州 +10、横浜 +1
-1~-10 神戸 -4、水戸 -4、松山 -9、那覇 -9
-11~-20 熊本 -12、前橋 -13、名古屋 -13、全国 -14、九州(福岡) -14、青森 -16、近畿(大阪) -16、広島 -16、下関 -16、新潟 -17、岡山 -17、中国(広島) -17、香川(高松) -17、大分 -18、静岡 -19
-20~-30 北陸(金沢) -22、京都 -23、鹿児島・宮崎(鹿児島) -24、函館 -25、山陰(松江) -25、 徳島(高松) -25、長崎 -25、札幌 -27、後志(札幌) -27、東北(仙台) -27、福島 -28、高知 -28、釧路 -30
-31~-40 盛岡 -32、松本 -33、山形 -34、甲府 -35、秋田 -37、旭川 -40

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