コムシティ破産管財人は26日、2003年6月に自己破産した黒崎ターミナルビルが保有する商業床を沖創建設(本社、那覇市)に引き渡した。沖縄タイムスによれば、買収金額は24億4000万円。同社はメガバンクを主幹事に沖縄県内の金融機関も加わった協調融資で40億円を調達した。差額は施設の改装費に充てる。
沖創建設は1982年設立の総合建設業者だ。沖縄県内では公共工事の実績が豊富なほか、住宅・アパート建築契約棟数は1957棟に及ぶ。2006年6月期の連結売上高は130億円余り。沖縄県外では、福岡、東京、中国・福建省泉州市に事務所を置く。
コムシティは「黒崎再生10年計画」の第一弾として2001年11月に開業した。建物は本館・別館・駐車場の3棟で構成し、本館には筑豊電鉄の黒崎駅前駅、西鉄と市営バスが利用する黒崎バスセンター、空家の商業床、公益施設の子どもの館、ビジネスホテルの西鉄イン黒崎がある。別館はJR黒崎駅側にある4階建てで、飲食店舗などが入る。駐車場は市営黒崎駅西駐車場。
沖創建設が今回取得した部分は、本館の商業床と、駐車場の大部分。同社は三菱商事の協力を得て、商業施設としての再開を目指す。時期は2008年半ばになりそうだ。なお、三菱商事子会社の三菱商事都市開発は商業施設の運営では実績があり、北九州周辺では福岡市の天神地下街の運営を受託している。
黒崎ターミナルビルの負債総額は約130億円だった。沖創建設の取得費を買収金額と改装費の総額40億円として、建物のコストは三分の一以下になった計算だ。不振を極めつくしたコムシティでも年間の売上高は67億円あった。同社は年間約16億円の賃料収入を見込むが、これなら以前のコムシティの店子でも採算が取れそうだ。
懸念材料は黒崎周辺の商環境の変化か。黒崎の商業は都心型から郊外型への変貌が著しい。2004年9月にフレスポ黒崎、2005年4月にイオンモール直方、2006年11月にイオン八幡東が開業した。2008年夏には野村不動産の商業施設が開業する。競争力で勝る郊外施設の黒崎包囲網が完成したいま、駅前立地の不利は以前にも増して大きくなっている。
コムシティの再開時期が野村不動産の商業施設の開業と重なるのも厳しい。相手は複合映画館や飲食店街、都市型温泉などで構成する娯楽施設と目されるが、コムシティと同等の規模があり、一部で店子獲得競争が生じないとは言い切れない。そもそもコムシティが破たんした原因の一つは、黒崎井筒屋と開業時期が重なり、店子獲得競争で完敗したからだった。
地元ではビッグカメラなどの大型家電量販店の進出が噂されている。駅前立地でノウハウのある専門店を誘致できれば、百貨店の井筒屋とともに黒崎駅前に二つの象徴的な商業核が生じ、黒崎をふたたび都心として再生する芽が出そうだ。ただ、建物の損益分岐点が劇的に下がったことから、年内に有力店が決まらない場合は、安易な店子募集が行われる可能性がある。