日本銀行北九州支店は4日、「北九州市の将来人口に関するシミュレーション」なる論文を公開した。
北九州市や北九州圏の将来人口に関しては九州経済調査協会などが実数で全国最悪の減少幅になると太鼓判を押したが、従来推計は過去の傾向をそのまま将来に延長した結果にすぎず、社会状況が変化した場合に関してはなにも答えていない。
日銀北九州支店は近年の重厚長大産業の復権や自動車産業の集積により「北九州市周辺では、企業の新規立地や増設の動きが相次いでいる」として、凄惨な従来推計を「人口減少を過大に推計している可能性が高い」と断罪し、上方修正を試みた。
ある2時点(2000年と2005年)の年齢別人口推移に基づいて、各年齢層の人口推移により将来人口を推計する。2000年から2005年までの変化率がこのまま続くと仮定した場合、2030年の北九州市の人口は75万2049人(24.3%減)。生産年齢人口は43万7638人で、「持続的に労働力を供給することが困難化する」。
最近の企業立地等に伴う新規雇用が新たな人口流入を生み、こうした転入者が北九州市に定住するという条件を上の従来推計に加える。この場合の2030年の北九州市の人口は85万2684人(14.2%減)。減少幅は九州全体の人口減の平均値並みになる。生産年齢人口は従来推計に対して+7万5000人。
出産・育児にかかる環境の改善等を背景に、出生率が2030年までに1.554まで段階的に上昇するという楽観的な条件を日銀推計にさらに加える。北九州市は子育てに関しては一定の評価があり、達成不可能な条件とまでは言えない。この場合の2030年の北九州市の人口は87万9264人(11.5%減)。生産年齢人口は従来推計に対して+8万人。
北九州市は発足時、将来人口を140万人と推計してまちづくりを行ったが、現実の乖離がはなはだしい状況だ。あるいは近年の都心回帰により、2030年まで人口増が続くと推計された福岡圏の衛星都市が早くも人口減に転じるなど、将来人口の推計は社会状況の変化にきわめて弱い。
工場立地が人口増に絶大な威力を発揮することは九州経済調査協会が先日発表した「九州の人口移動」「九州の就業者数」の調査で明らかになった。北九州圏の社会動態はすでに対九州では強含んでいるとみられる。
日銀北九州支店は「企業を継続的に誘致し、雇用を創出し続けることが重要で、これが若年層の転出を止め、新たな転入者を増加させる形で人口動態にも影響を与える」と経済活性化を説いて結びとした。