全国屈指の好景気を反映して北九州市内(苅田町含む)へのホテル進出が盛んだ。北九州市内のビジネスホテル客室数は統計のある2002年3月末時点で5463室だったが、新北九州空港開港前後の2005年から2008年までの4年間で新たに約3000室が供給され、50%以上の大幅な増加となる。
地方都市のビジネスホテルは2003年頃から全国的に増加傾向にある。企業が地方の支店・営業所を統廃合した結果として、出張需要が増えたからと説明されることが多いが、北九州市の場合は元から全事業所に占める支店の割合が政令市で最低レベルであり、リストラよりも設備投資の影響が大きそうだ。
北九州では2002年を境に製造業の景況が上向いた。相次ぐ設備投資を受けて出張客や単身赴任者、建設事業者が長期滞在して、ホテルの予約が取りにくくなった。変化の兆しは破たんしたコムシティにあった。コムシティ上層階に入居した西鉄イン黒崎(2001年開業)は、商業施設の不振とは対照的にフル稼働を続けた。
北九州は都市規模に対してホテル客室数が明らかに少なかったが、需要増大を受けてもホテル事業者の出足は鈍かった。北九州のビジネス客は元来、飛行機で福岡空港に到着、福岡市内のホテルに宿泊して、日帰りで北九州入りするのが通例だったからだ。新北九州空港の開港がホテル事業者に地域を再評価させるきっかけをつくった。
新北九州空港の開港を当て込んだホテル建設は今年で一巡し、来年からは好景気にあやかりたいビジネスホテルの進出が相次ぐ。2008年度以降に開業するホテルは不動産流動化を活用したホテル投資が多い。出遅れた事業者は投資家の潤沢な資金を活用して、より大規模な物件をもって先行業者に対抗する構えだ。
問題もある。新しく開業するホテルの三分の二が郊外立地になる。郊外立地は既存の都市型ホテルとの競争を避けるための戦略だが、都心部に宿泊機能が十分に集積していない北九州では、商業施設の郊外展開と同じように、都心部の空洞化に拍車をかける恐れがある。
民間企業の自由な経済活動を制限すべきではないが、ホテルの都心立地を促すために、なんらかのインセンティブが必要だろう。