関門通信

論説

産業観光フォーラムを北九州で開催 製鐵所の世界遺産登録に向けた布石か

北九州市は11月16日と17日の2日間にわたり全国産業観光フォーラムを北九州国際会議場で開催する。

このイベントは日本観光協会が主催するイベントで、第1回の名古屋市から4年間で八戸、鹿児島などそれまで観光都市としてクローズアップの度合いが低かった都市を中心に、近代化遺産や最先端産業、食産業を観光の目玉として活かし観光の新たな流れを起こしていこうという意図のもと毎年催されており、福岡県内においては今回が初めての開催である。

初日に行われる基調対談では、近年にわかに脚光を浴びつつある産業観光の提唱者であるJR東海相談役の須田寛氏と著書『メタルカラーの時代』で先端産業の魅力を紹介しているノンフィクション作家の山根一眞氏によって「産業観光パワーアップの道」と題した対談が行われる。その後、産業観光分野の有識者によるパネルディスカッション、分科会が行われ北九州が得意とする環境産業に関する取り組みや近代化遺産の活用に関してディスカッションが行われる。

2日目はエクスカーション(見学会)として、市内各所の工場や県内の伝統産業、環境分野に対する視察を5コースに分けて行う。

先日マスコミ各社の報道でも取り上げられた経済産業省による近代化遺産の世界遺産登録支援への動きは、10月末に行われる同省主催のシンポジウムにもみられるように、九州・山口の広域登録を想定して着実に進行している。先日南河内橋が国重要文化財指定へ答申を受けたこともあり、このイベントを期に北九州市が産業観光とその先にある近代化遺産の世界遺産登録へどう取り組むか、関心の集まるところである。

産業観光と北九州

ここで産業観光という言葉の説明を行いたい。『新・産業観光論』の冒頭には、「産業観光とは、歴史的、文化的価値のある産業文化財(機械器具、工場遺構など)や生産現場(工場・工房など)、産業製品などを観光資源として人的交流を図る産業活動をいう」とある。

そもそも北九州は、古くから日本産業の主力工場を抱え、八幡製鐵所が例年開催していた「起業祭」にみられるように、市内にある多くの工場で構内見学とそれに伴う各種イベントが開催されており、比較的古くから産業観光という分野に対する理解力があった。

五市合併直後に発行された書籍の中にも「産業観光」という言葉が用いられている。それらは、一般的には工場見学を指す言葉として細々と用いられ、現在に至っている。

近年中部圏で活発に興りつつある産業観光(工場見学に産業遺産見学を加えたもの)の動きに対して、従来の工場見学=産業観光という視点で語られてきた市としては、当初今ひとつ懐疑的な状態があったものの、今年5月に発行された「産業観光パンフレット」では、産業遺産を含め本来北九州の強みとして持っていた時代・分野ともに幅広い産業を十分に活かし、近代化遺産やリサイクル産業などの紹介に力点を移しつつある。

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