黒崎駅前の大型再開発ビル「コムシティ」を管理運営する黒崎ターミナルビル(本社、北九州市)は2日、福岡地裁小倉支部に自己破産を申請し、破産宣告を受けた。負債総額は約130億円。
同社は5月19日に民事再生法の適用を申請した。しかし、出店者会(96店舗)が共益費の値上げを受け入れなかったことから、これを取り下げて自己破産の手続きに切り替えた。
コムシティの商業施設は今月15日で閉鎖される。西鉄イン黒崎、市立こどもの館、筑豊電鉄駅、黒崎バスターミナルは無関係で、16日以降も通常通り営業を続ける。
黒崎ターミナルビルの自己破産は、同社が金融機関から融資を断られ、床代金の支払いを滞らせた時点で既定路線だった。
同社に20%を出資した北九州市は、支払いの滞りに対して地方自治法に基づく督促を行うなどはじめから救済の意思はなく、一債権者として振舞った。ずさんな事業に対して請われるままに出資した責任は当然問われるとしても、ずるずると公金を投入することなく破たん処理を促した容赦ない決断は評価してよい。
黒崎ターミナルビルは経営能力を決定的に欠いていた。同社の清本隆敏社長は「黒崎の町自体に魅力がない」と地域を貶めるが、コムシティの真向かいにある黒崎井筒屋は床当たりの売上がコムシティの2.6倍(2002年度)に達し、増収を重ねる。
清本社長は「井筒屋黒崎店やデコシティに店舗や客を取られた」と責任転嫁にも余念がないが、店舗や客を取られるままに取られ続けて傍観するような運営会社が倒産しないはずがない。
同社は変動家賃制(利益連動)を採用した。この方式は利益がなければ家賃を払う必要がないため、低収益店舗の安易な入居を促す。また、営業努力が負担増に直結するため、出店者は低収益に安住する傾向が強く、同じ方式を採用した福岡市のスーパーブランドシティも速やかに破たんした。
同社は床当たりの売上が市内平均にも届かなかった出店者の販売能力を責めるが、そのような店舗を呼び込む仕組みでむやみに入居者を募ったのが同社ではなかったか。出店者に契約の不履行はなく、責任の全部は同社の経営の失敗にある。
「出かけたくなるようなものがなにもない」がコムシティに対する消費者の結論で、破綻の直接の原因でもある。コムシティは運営会社も出店者も見込みがなく、損害と共に退場させてリセットをかけなければ再生の道筋が立たない。
破産管財人は今年度中に物件を売却してこの問題を解決したい意向で、多額の債権放棄を呑ませれば商業施設としての再生は可能と考えているようだ。