旧大分銀行門司支店(1922竣工、RC造3階建)が解体工事に着手されている。同建物は大分市で創業された二十三銀行(国立第二十三銀行が発祥)の二代目門司支店として建てられ、戦後の一時期は日本銀行が数年のあいだ間借りしていた。出光興産が大陸から撤退し、出光商会と合併して最初の事務所を構えたのもこの建物である。
近年、門司港地区では景気回復の影響からか、近代建築の解体が相次いでいる。旭湯(2005年4月解体)、エポック旧本社(同年5月解体)、明治屋門司支店(同年7月解体)など。旧大分銀行門司支店の場合は、所有会社である第一交通産業が地元との交渉を一定期間設け、旧JR九州第一庁舎方式(土地の等値交換)での妥結も視野に交渉が進められたが、実を結ばなかった。
歴史的建造物といわゆる「レトロ的」新規建築との大きな違いは、建物が今までにどのような物語を醸成し、地元に愛されてきたか、という一点に尽きる。観光地内において新規建築は、それまで建てられていたものよりも、より豊かな物語を持った夢を見せる必要がある。建物解体後、そこにどれだけの物語を作ることが出来るか、所有者の手腕に注目が集まる。
建物は来月までには解体される見込みで、跡地にはマンション建設の可能性が濃厚である。