玩具大手のタカラ(本社、東京都)は13日、サーキット事業からの撤退を決めた。同社の子会社チョロキューモーターズ(本社、東京都)が運営する美祢市のMINEサーキットは2006年2月末で閉鎖する。敷地などの資産は第三者へ譲渡する計画というが、具体的にはなにも決まっておらず、サーキット場としてふたたび再生するかは不透明だ。
MINEサーキットは1972年の開設。コースは1周約3.3キロ。収容人員5万8500人は美祢市の人口の約3.3倍。運営会社のセントラルパーク山口(本社、美祢市)は過大投資と入場者減少により2002年に経営破たんした。
チョロキューは2003年10月にこのサーキット場を取得し、同社の電気自動車事業とタカラの玩具事業との相乗効果を狙ってサーキット運営に乗り出した。2006年3月期の単体決算は約5000万円の赤字になるという。
親会社のタカラは少子化の影響などにより2005年3月期の連結決算で約147億円の赤字を出した。サーキット事業からの撤退は経営資源を本業の玩具に集中するためだという。しかし売上高約972億円の大企業が5000万円の赤字を苦にして、収益が見込めないことを承知の上で参入したサーキット事業を、わずか2年で放り出すのか。
タカラ再生のため筆頭株主になったインデックス(本社、東京都)の落合正美会長は、「電気自動車とか、家電とかいった事業に投資するうち、本業が希薄化した」とタカラの道楽に対して手厳しい。「極端なことをいえば(全く新しい)ヒット商品がなくとも、本業回帰でいい」。[参照]
タカラは2006年3月1日付でトミーに吸収合併される。インデックスは合併前にタカラの道楽事業を清算したかったようだ。道楽に対する賛否は企業判断でよい。売却先を見つけず唐突に閉鎖を発表する姿勢は身勝手で、地域社会やモータースポーツに対する配慮が足りない。業績好調でも公益の担い手という自覚を持てないインデックスは、企業市民としては失格だ。