関門都市圏の2005年国勢調査速報が出揃った。人口は京築と遠賀・宗像の一部で辛うじて増加したが、その他は満遍なく減少した。人口減は北九州市と下関市の中心市街地でもっとも大きい。
わが国は県都が許認可権限を握って県内の経済活動を統制する県単位経済のため、県都の山口市、福岡市、大分市に新しい都市機能が集中する傾向が顕著だ。各県の辺境にあたる関門都市圏は県単位経済の現実に抗えず、三つに引き裂かれて解体しつつある。
世帯数に関しては核家族化の影響から都市部では増加傾向にあるが、減少に転じる場所も出始めた。
北九州市の人口は99万3483人。前回調査より1万7988人(-1.78%)減少した。下関市(旧豊浦4町を含む)の人口は29万0693人。前回調査より1万0404人(-3.5%)減少した。関門の人口は128万4176人で、前回調査より2万8392人(-2.21%)の減少。下げ幅は全国屈指の過疎県に匹敵し、社会減に加えて、死亡数が出生数を上回る自然減が本格的に始まったことが窺える。
北九州市は人口を上積みした前回国勢調査の実績から100万人の大台回復が期待されたが、2005年9月の推計人口より約4000人も少なく、意外な結果だった。4000人は近年では約1年半分の人口減に相当する。ただ、今回の国勢調査は下関市や福岡市などでも2005年9月の推計人口を下回り、調査の正確性に対しては不信が残る。
世帯数は北九州市が41万3392世帯、下関市が11万7360世帯。北九州市では前回調査より5312世帯(+1.30%)増加したが、下関市は人口減に引きずられて世帯数も減少に転じた。世帯数は都市規模の大小に絡む数字で、拡大志向の郊外開発は早急に見直す必要がある。世帯減で市街地を拡大すれば、都市は分解して小集落散在の状態へ帰る。
市区別の動態は以下のとおり。
北九州の人口は小倉南区を除いてすべての区で減少した。前回調査で微増だった八幡西区も減少に転じた。門司区と八幡東区は過疎の山村並みで、人口減に加えて世帯数も大きく減らした。戸畑区は前回国勢調査との比較では分からないが、近年は良好な居住・教育環境が見直されて下げ止まる傾向がある。
下関では本庁の4827人(-6.0%)減、彦島支所の2067人(-6.2%)減など、中心市街地の減少幅が大きい。一方、新下関を擁す勝山支所は1528人(+6.7%)増、内陸に位置する新興住宅地の清末支所は254人(+4.4%)増、その奥の旧菊川町は109人(+1.3%)増だった。
対岸の門司を含め、関門海峡沿岸からの人口離散は深刻な問題だ。このままでは北九州・下関の統合どころか、山口・福岡県の思惑通りに関門は辺境の境界地域になる。道州制議論が活発になりつつあるが、関門海峡の境界線が県単位経済から州単位経済の断絶へと強化されれば、関門は西日本の中枢拠点へ復権する望みを完全に喪失し、それぞれが九州の北外れの僻地、中国の西外れの僻地となって命運が尽きる。
関門では高密度の中心市街地ほど人口減が大きく、数字からはまちなか回帰の傾向はみられない。しかし不動産業界はまちなか回帰を起こしたい意向で、小倉北区では2006年から2007年にかけて判明分だけで2000戸以上というかつてない規模で新規の賃貸・分譲マンションが供給される。
現在の人口動態で新下関や学研都市などへの郊外発散は自殺行為に等しい。都市存亡の危機にあることを自覚し、芽生え始めたまちなか開発の機運を盛り立てて、より戦略的にまちなか回帰を促すべきだ。
宇部市(旧楠町を含む)の人口は17万8952人。前回調査より3079人(-1.7%)減少した。世帯数は7万1288世帯。前回調査より1288世帯(+1.8%)増加した。
山陽小野田市(旧山陽町含む)の人口は6万6259人。前回調査より1170人(-1.7%)減少した。世帯数は2万5333世帯。前回調査より650世帯(+2.6%)増加した。
宇部・小野田の人口動態は可もなく不可もない。ただ、宇部市では人口が山口市方面へ移動する傾向がある。山口市寄りの新興住宅地では、川上地区で769人(+11.92%)増、東岐波地区で312人(+2.36%)増だった。中心市街地では団地開発によって鵜の島地区が440人(+9.99%)増。北九州市や下関市ほど顕著ではないが、人口減が大きい地区はやはり中心市街地に集中している。
なお、山陽小野田市は地区別の人口動態は公表していない。
行橋市の人口は7万0055人。前回調査より318人(+0.46%)増加した。世帯数は2万5717世帯。前回調査より1042世帯(+4.22%)増加した。行橋市の人口増は北九州市や苅田町への通勤者が流入しているためだが、次回国勢調査は人口減、世帯増になりそうだ。
その他の人口動態は、苅田町が-3.42%、犀川町が-3.42%、勝山町が-2.82%、豊津町が-4.11%、椎田町が-3.31%、築城町が-6.32%。
前回調査との比較では、苅田町が+1.52%から-3.42%の減少に転じた。苅田町は昼間人口比率が戸畑区並みに高いが、新住民は小倉南区や行橋市に居住する傾向が強く、町の人口構成は戸畑区と似た状況だ。
中津市(旧下毛4町村含む)の人口は8万4372人。前回調査より1245人(-1.5%)減少した。世帯数は3万2841世帯。前回調査より949世帯(+3.0%)増加した。
中津市の人口減は旧下毛4町村の減少によるところが大きい。旧中津市の人口減は44人に過ぎなかった。ダイハツ車体の進出と、その後の相次ぐ拡張という好要因があることから、しばらくは現在の水準に踏みとどまりそうだ。
その他の人口動態は、新吉富村(現在は上毛町)が+0.56%。豊前市が-3.53%、吉富町が-1.84%、大平村(現在は上毛町)が-3.28%、宇佐市が-2.5%、豊後高田市が-4.1%。
人口増の新吉富村は山国川を挟んで中津市の対岸に位置する。
田川市の人口は5万1536人。前回調査より2491人(-4.61%)減少した。世帯数は2万0633世帯。前回調査より349世帯(-1.66%)減少した。田川市の減少幅は大きいが、機能流出による人口減は終焉して、人口の下げ幅としては前回調査と変わらなかった。
その他の人口動態は、香春町が-5.63%、添田町が-7.36%、金田町が-3.97%、糸田町が-2.41%、川崎町が-0.38%、赤池町が-4.39%、方城町が-0.79%、大任町が-3.42%、赤村が-6.27%。
飯塚市の人口は7万9330人。前回調査より1321人(-1.64%)減少した。世帯数は3万2360世帯。前回調査より1021世帯(+3.26%)増加した。人口の下げ幅は前回調査の-3.31%より小さく、旧産炭地を脱却して体質改善が進んだことが窺える。
その他の人口動態は、山田市が-5.58%、桂川町が-1.52%、稲築町が-3.36%、碓井町が-7.63%、嘉穂町が-6.16%、筑穂町が-4.24%、穂波町が-3.34%、庄内町が-3.54%、頴田町が-4.20%。
前回調査との比較では、桂川町が減少に転じた。嘉飯山西側の桂川町や筑穂町はかつて福岡市の影響が及んだが、福岡都市圏の縮小により恩恵に授かる地域がなくなった格好だ。
直方市の人口は5万7499人。前回調査より1683人(-2.84%)減少した。世帯数は2万1486世帯。前回調査より232世帯(+1.09%)増加した。直方も飯塚と同じく人口の下げ幅は前回調査より小さかった。
その他の人口動態は、小竹町が-4.90%、鞍手町が-5.51%、宮田町が-1.02%、若宮町が-3.75%。
宮田町にはトヨタ自動車九州があるが、従業員の大部分は宗像市か北九州市に居住する。トヨタ従業員を惹きつける住環境の整備なくして人口増は望めない。
人口動態は芦屋町が+2.67%、水巻町が-2.97%、遠賀町が-0.16%、岡垣町が+3.01%、宗像市が+2.28%、福津市が-0.18%。
宅地開発がさかんな地域で人口が増え、開発しつくされた地域は減少だった。福岡市のまちなか回帰現象により、宗像市や福津市は勢いの衰えが著しい。福津市は減少に転じた。宗像市も次回国勢調査で減少に転じそうだ。
芦屋町は前回国勢調査では減少だったが、若松区の隣接地で大規模な宅地開発があり、一時的に人口増に転じた。