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新北九州空港に「否」 山口・大分県で対抗策

新北九州空港の開港が間近に迫り、大分県や山口県が新北九州空港を利用しないよう働きかけを強めている。山口県や大分県は他県にある新北九州空港の後背地が県内に及ぶことを容認しない。新北九州空港は山口宇部空港、大分空港、福岡空港の谷間に割り込むことから後背地が広くないが、山口県や大分県の明確な拒絶により、広域からの集客はますます困難な情勢だ。

大分県

大分県は中津市と大分空港を結ぶ快速リムジンバスを試験運行すると発表した。期間は2005年12月27日から半年間。大分空港国際化等利用促進期成会が大分交通(本社、大分市)と同社の子会社・大交北部バス(本社、中津市)に業務委託する。

快速リムジンバスはJR中津駅南口を基点に、法鏡寺(宇佐市)、豊後高田を経由して大分空港へ向かう。中津駅前からの片道料金は1500円で、往復の場合は500円割り引く。所要時間は約1時間半。大分空港の東京・大阪便の時刻表に合わせて1日6往復する。

中津からの大分空港バスはかつて存在したが、利用客が伸びずに2004年に廃止された。しかし新北九州空港が来年3月16日には開港することから、大分県としては宇佐中津地域の空港利用客を逃さないためにも公共交通機関が不可欠と判断した。

期成会は試験運行の成績を見て、結果良好なら来年7月には正式運行へ移行させる。結果不良の場合は道順や途中停車を見直して、大分空港環境整備協会の補助事業を活用して正式運行させたい意向だ。

山口県

山口県は下関地域の県民が新北九州空港を利用する「懸念」があるとして、去る7月4日に「山口宇部空港利用促進下関委員会」を設立した。関門は経済的には融合しているが、下関経済界のトップ(下関商工会議所会頭)を委員長に据えて反旗を翻し、政治・経済の両面から引き締めを図っている。

宣伝活動にも余念なく、下関市報にチラシを折り込んで下関市内の全戸へ配布したほか、北九州と下関の友好事業・関門海峡花火大会では山口宇部空港利用促進PRうちわを8000枚配布した。いま現在は商品券を贈呈する「特典付き旅行商品キャンペーン」の実施中。今後も商工団体会報や企業内広報誌へ広報を掲載したり、カモンFMでスポット広報を打つなどして、切れ目なく山口宇部空港の利用を訴える。

集客戦略不在

北九州市は危機意識が決定的に欠如しているようだ。初年度の利用者目標が100万人と覇気がないせいもある。航空会社の参入表明が相次いだせいもある。福岡空港の後背地を侵食し、山口県や大分県の対抗策に打ち勝とうという意欲は持ち合わせていない。

新北九州空港が広域から空港利用者を集めるには、自家用車アクセスの利便性を高める以外に選択肢がない。下関からはサンデン交通(本社、下関市)が空港連絡バスを運行するものの、下関の分散型の都市構造や門司港を経由するルートから判断して、ごく少数の利用客しか見込めない。北九州西部からの空港連絡バスは福岡空港行きのバスと競合する。筑豊地域や宇佐中津地域からは空港連絡バス自体が存在しない。

バスが集客手段にならないことは10月1日から試験運行した現北九州空港と黒崎・折尾を結ぶ空港連絡バスが実証した。関門都市圏は全域が典型的な自動車社会であり、かれらから車を取り上げてバスに乗せかえる必要はない。望まれないバスに拘泥するのではなく、市民の生活習慣に寄り添った施策が必要だ。

一例として八幡西区穴生の自宅から新空港へ行く場合、空港連絡バスを利用するのであれば実質1時間以上かかる。福岡空港の場合は実質1時間半かかる。自家用車なら40分みておけばよい。重い荷物を持ってバス停に出向いたり、交通機関を何度も乗り換えたりするのは苦痛だ。自家用車アクセスは福岡空港と差別化する手段であり、新北九州空港の強みでもある。

新空港に空港利用者を集めるには、駐車場の拡張と無料開放、さらに「自家用車が便利」「空港は自家用車で行くところ」という徹底的な刷り込みが不可欠だ。山口宇部空港は無料駐車場を完備する。現状の新北九州空港はバス・自家用車の両方で下関地域の空港利用者に選択されない。駐車場の無料開放は、大分空港が駐車場料金を徴収することから大分空港に対する優位性にもなる。

北九州到着客にはオンディマンド(要請時対応)の乗り合いタクシーのほうが便利だ。関門都市圏は分散型の都市構造だから、到着客にとっても路線バスは有効な交通手段ではない。アクセスは確保できればよいのであって、その手段はなんでも構わない。不毛なバス網を優先して、自家用車や乗り合いタクシーにしわ寄せするようでは本末転倒だ。

初年度の旅客実績は新北九州空港のその後の位置づけを決める。集客戦略に失敗して航空便が撤退し始めてからあれこれ対策を講じても遅すぎる。万全の対策で開港を向かえ、集客に不安がなかった場合に手を引くようにしたい。

山口県や大分県、福岡地域の理解と協力が得られない中で、旧態依然とした集客戦略では、新北九州空港は早早に失速しよう。

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