新日鐵が全額出資する発電所、東田コジェネ(本社、北九州市)が21日から正式に稼動を始めた。同社は新日鐵八幡構内に三菱重工業製18MACH-30Gガスエンジン6台からなる天然ガス発電施設を建設。コジェネは設備を保有するだけで、売電事業は新日鐵が担う。
新日鐵による電力供給は国際物流特区の規制緩和「資本関係等によらない密接な関係による電力の特定供給事業」によるもので、電力供給者と需要家が組合を設立した場合に電力の特定供給事業を可能にしたもの。組合は電力供給者となる新日鐵(東田コジェネ)と、需要家となる八幡東田総合開発および前田企業団地への進出企業などにより設立された。
新日鐵はこの規制緩和を前提に、約40億円を投じて出力3万3000キロワットの発電所を建設、自前の送電線を使って、組合員へ電力を供給する。供給量はまだ1万キロワット程度で余裕があるが、スペースワールド、ジェイコム北九州、コジマ、いのちのたび博物館など、対象地域に立地するすべての企業・施設が九州電力から東田コジェネに切り替えた。電気料金は10%程度安いという。
今後の供給先としては、来年の開業を目指すイオン八幡東田ショッピングセンターなどが挙げられる。
電力小売自由化は2000年に大規模工場や百貨店などの大口顧客を対象として始まった。2004年には中規模工場やスーパーにまで範囲が広がり、2007年には全面自由化される。
新日鐵は当初から電力事業に意欲的で、2001年に福岡市庁の電力入札で現行より15.3%安い価格を示して落札したのを皮切りに、各地で九州電力と競って大口顧客を奪ってきた。しかしこれまでは余剰電力の売電に過ぎず、九州電力の競争相手といえる立場ではなかった。
国際物流特区の規制緩和は、電力小売自由化を先取りしたものといえる。新日鐵はこれを揺籠として利用し、あらかじめ自前の発電所と自前の送電線を備えた。全面自由化の後に市内全域に電力を供給する体制は着実に整いつつある。