昨年7月19日の水害で被災した嘉穂劇場(飯塚市)の復旧工事がほぼ終わり、被災1年の19日に生まれ変わった劇場で記念式典を開いた。式典では嘉穂劇場理事長の伊藤英子氏が支援者らに感謝の言葉を述べた。
嘉穂劇場は1931年2月竣工。木造二階建ての入母屋造りで、屋根は鉄板葺き。小屋組はトラス形式。客席収容人員は1200人。先の水害で1.5メートルの高さまで泥水に浸かり、もともと老朽化が著しかった建物に決定的な打撃を与えた。
劇場は個人事業で経営状態も思わしくなく復旧は絶望的とみられたが、被災した反動による過度の愛着が市民や芸能界のあいだに巻き起こり、支援の輪が広がった。
しかし募金だけで復旧資金をまかなうのは難しく、運営母体を民間非営利団体にすることで公的資金の注入を受けた。復旧資金として日本宝くじ協会が2億円、日本小型自動車振興会(オートレース)が1億5000万円を寄付している。
市民の義援金も最終的には1億3000万円に達した。劇場の復旧・修繕費用は2億7000万円余りで、余剰金は劇場内部の音響、照明などの施設整備や、再開後の公演費用に当てるという。嘉穂劇場は被災しなければそのまま朽損した可能性が高かったのだから、禍いが転じて幸いとなった好例といえる。
新しい劇場は回り舞台も復活した。こけら落とし公演は全国座長大会(オートレース補助事業)で、9月17、18日に行われる。